株の情報: 2008年4月アーカイブ

 去年からサブプライムローン問題と言う言葉を聞くようになりましたが、年が明けてからもひっきりなしにこの問題が取沙汰されています。

大企業でも、巨額の損失を出している会社がたくさんあります。大企業でさえも予測不可避だったこの流れ。

何でこの問題がこんなにも長期化しているのか。その仕組みを考えて見ましょう。


 そもそも、サブプライムローンとは何なのか。

優良顧客のことをプライム層と言いますが、それにサブがついて、サブプライム=優良顧客とはいえない低所得者に向けた住宅ローンというものがアメリカにありました。

このローン、借りた当初は金利が低いのですが、大体二年を越えたあたりから金利が高くなると言うおっかない商品です。

日本にもありましたよね、ステップ金利とか言うものが。ステップ金利にしても、途中から返済できなくなる人が結構いたんですよ。 

だいたい、返済不能になる可能性が高い人たちにお金を貸し出すこと自体危ない話だと思うのですが、その頃アメリカの不動産は値上がりを続けていたので、もし払えなくなっても不動産を売却すれば大丈夫と思われていたのです。

そんな危ないローンでしたが、サブプライムローンの貸し手は、貸し出し後すぐに「住宅ローン担保証券」というハイリスク・ハイリターン商品としてその債権を証券化しました。

そして、世界中の投資家がハイリスクと知りながらそれを購入したのです。

日本のステップ金利がお父さんの昇給に頼みの綱を託していたように、サブプライムローンでは不動産価値の値上がりが頼みの綱だったわけです。

もちろんそんな不動産バブルがいつまでも続くわけがなく、ある日バブルがはじけました。

普通ならお金を貸し出した銀行だけがあわてるところですが、すでに住宅ローン担保証券として売却されていますから、銀行はもう知らんぷりできるというわけです。

さらに問題を複雑にしたのが、債務担保証券と言う形で再証券化されたことにあります。

債務担保証券とは、社債やローンなどから構成される資産を担保に発行される資産担保商品のひとつです。


面倒くさいでしょ?この面倒くささが今回の問題が長期間にわたって金融マーケット全体に悪影響を与えているわけです。

わかりやすく説明しましょう。

たとえば、狂牛病がでたぞ!って言われれば、みんな牛肉を食べたくなくなる。

・ 特に危険部位と言われるところは誰も食べない。
だから捨てるしかなくなる。

・ 普通のお肉。牛である以上危険かもしれない。
食べるのは不安だから、これもみんな避ける。
だけど、絶対危険って訳ではないから捨てるのももったいない。捨てるに捨てれない。

・ 高級肉。安全なんですよ、と宣伝してもなかなか買ってもらえない。
買ってもらえないから在庫が残る。
値段だって下がる。

・ 加工食品。みんなが買わなくなった牛肉を他の食品と混ぜて売ってやろう。
ビーフカレーやコロッケみたいに混入していることが判りやすい食品もあれば、コンソメスープみたいに一目ではわからない商品もある。

 いきなり肉の話ですみません。

この危険部位と言うのがサブプライムローンの中でも、最もハイリスク・ハイリターンで販売された証券であると考えてください。回収の見込みが無いわけですから、捨てなきゃならない。がっかり。「でも、ハイリスクだってわかって買っていたんだから仕方ないか…」と思えると良いですが…。

次に、普通のお肉。
サブプライムローンの中ではそこそこのリスクでそこそこの収益を見込んだ証券。

安全だと思って大量に購入した投資家にしたら、え、ウチもやばいの?って感じです。

さらにこのお肉、危険部位のように「えーい、仕方ない」とさっぱり捨ててしまえないのが痛いところ。

どの程度の損益が発生するのかわからないから見切りが付けられないところが厄介なのです。

さらに、高級肉。
サブプライムローンの中では最もローリスクローリターンだった証券です。

しかし、お肉の需要が減って価値が下がるのは仕方ないところ。同様にこの証券でも多少の損失が出るでしょう。


さてさて、最後に、加工食品たち。
この加工食品のように、問題のある部分が他の健全な金融商品に混ざって広く市場に出回っているところが今回のなが~い金融不安状態を作り出していると言えます。

 この債券市場が実体経済に与える悪影響はまだまだ続きそうです。とんこつスープだから安心して食べてみたら牛肉エキスが入ってた。みたいに、サブプライムローン債権を忘れた頃にひょっこり顔をあらわして、あなたを困らせないとも限りません。

こうしたサブプライムローン債権が、小口証券化によりさまざまな金融商品に組み込まれ、国際的に販売されたため、これらに投資していたアメリカ・ヨーロッパの金融機関やヘッジファンドが相次いで損失を被り、世界的な信用不安が拡大したのです。

このため、リスクの高い株を売って、より安全な国債などを買う動きが加速し、世界同時株安となっているわけです。

 小口に証券化されたサブプライムローンの影響が、どの程度の広がりがあるのかは、見極めができていないので、根強くのこった不安感が株価にも影響を与えています。

サブプライムローン債権を証券化したさまざまな金融商品が世界的に出回る中、まずは損失の実態を把握することが急務でしょう。

ちなみに、日本・アメリカの金融当局は既に、金融機関の実態調査に乗り出しています。

日本は輸出企業に打撃を与える円高が急進し、アメリカのFRBが緊急利下げに踏み切る中、難しい判断を迫られそう…。

いずれにしても、サブプライムローン問題による損失の実態も含め、今後も引き続き、先行き不透明なアメリカ経済から目が離せません。


ですから今後は、勇気と資金と行動力だけで投資すると今まで以上にリスクをはらんでいると考えましょう。今まで以上に世界の動きに敏感にならないと敗者として追い出されてしまいかねません。

ところで、話が変わりますが最近金の値段が上がっているみたいですね。

要因としては今回の金融不安がもたらしたペーパーマネーへの不信感であろうと思います。

先に言っておきますが、私は必ずしも今金を買うべきだと言っているのではありません。

今の状態は、金への投資と言うより、金への逃避に近いと思います。みんなが買っているから、少々高くなっているけれど自分も金を買っておこう…まあ、それもいいのでしょうけれど、現在金は相当値上がりしていますし、投資にはリスクがあります。

逆に言えば、現在の世界的な株安は、株の買い初めにはもってこいと言えなくもないですよね。

個人投資家の方は特に株価が下がってくると不安になり、逆に上昇していくと安心して購入する傾向にあります。

しかし、株式投資の本質は暴落時にこそチャンスがあり、急騰時こそリスクが高まっていきます。

今、日本株はサブプライムローン問題から暴落局面にあります。日々チャンスは高まり、このチャンスは嵐のようにあっという間に過ぎ去ってしまうかもしれません。

バーゲンセールのように、劇安値で購入できる期間は非常に限られており、一瞬で過ぎ去ってしまうものです。

今後のキーワードは、上海万博やユビキタス時代の到来、新興諸国の勃興、環境問題、新エネルギーなどなどが大きなテーマになるのではないでしょうか?


では、どのタイミングで買いに入るか。

 金融機関の損失がどのくらいあるのかその実態がつかめるまで、アメリカの金融政策がどの程度効果を挙げるのかがわかるまで、あと半年は先行き不透明な時期が続くと思われます。

その後の日経平均株価の動向はどうなるのでしょう? 

楽観的な意見ですが、アメリカの大胆な景気対策が市場の好感を呼び、また、8月には北京五輪も控えと、今後の好材料に期待したいところです。


それにしても、外国頼みの色彩の強い日本市場には、外国人投資家を惹きつけるような魅力ある制度改革ができないものですかね。

しかし、中国株は当然、先行して下げてきた日本株には特に魅力ある銘柄が多く、激安値で購入できるチャンスかもしれません。

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